第4回 | アートビオトープ那須 水庭 (2017年 設計 石上純也)
アートビオトープは建築ではありません。また建築に付随する外構でもありません。
2017年に日経アーキテクチャーという建築雑誌の表紙を飾った建築家石上純也の美学に基づき作られた水庭です。
生物の住みやすさが損なわれた自然環境を回復再生させることをビオトープという概念があります。
人工的に水溜まりをつくり、これを縫って樹木を配置して創られた写真記事に違和感を感じた記憶がありました。
雑誌掲載から5年後、この水庭を散策する機会を得ました。ちょうどこの日は水庭を管理している作業を間近にみることができ、
作業人からの話も聞くことも出来ました。落ち葉を池から網で掬い、地表の落ち葉を竹箒で集める作業を毎日行なっているとのこと。
雑誌によると池は自然材料の防水材等使うなど様々に工夫し、池の水が植樹エリアに浸水しないように造られているとのこと。
移植された木々は自然に生えていた場所より遥に過酷な環境に置かれているような気がします。毎日清掃し続けなければならない池と樹木は、
時間経過のなか自然の力に淘汰されず、どのように変わってゆくのか、変わらずに佇むことができるのか厳しい試練の未来が想像できました。
この水庭の見学後、天気も非常に良く、近くにある那須ペニーレーンの屋外の水庭とは違い伸び伸び育った樹木の下で、
爽やかな気分で昼食をとることが出来ました。
森林を切り拓き、沢から水を引き水田になり、それが減反政策で牧草地となり、さらに放棄地となった土地の記憶を持つ地に水庭は創られました。 隣地の318本の樹木を移植し、160の池を作り、全ての池に均等に水を巡らせ渓流に戻しています。 この水庭の作者が芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞したときの選考者の一人である建築家内藤廣は「こんな風景は自然の中には存在しない。 だから、少しでも人が手を緩めると崩壊してしまうフィクションであり、その蜻蛉(かげろう)のような儚(はかな)さが人を引き付ける。 危うい姿勢でつま先立ちをして語り掛ける静寂。自然とは何か。人とは何か。それは、精神の深奥に語り掛ける美しい逆説である」。
この水庭はオベル・アワードを受賞し、アメリカのプリツカー賞より高額の100,000ユーロという賞金が授与されています。 2017年4月にオープンしたアートビオトープ那須は2023年11月に閉鎖されましたが、2024年4月リゾート施設「那須無垢の音」として再開されています。
興味のある人はご覧あれ。
住所
〒325-0303 栃木県那須郡那須町高久乙道上2294-5

全景1

全景2

全景3

池1

池2

池3 通水管

池4 池を繋ぐ菅

池5 落ち葉清掃

池6 落ち葉清掃

那須ペニーレーンにて昼食